人事労務

扶養家族についてまとめ

最近、扶養家族とできるかどうかについてお問い合わせを頂戴しています。

扶養家族として扱える範囲について簡単にまとめましたので、以下に記載します。

 

<扶養家族について>

扶養家族には二通りありまして、ひとつは所得税における扶養家族(あるいは扶養家族控除の対象範囲)、もうひとつは健康保険の扶養家族(いわゆる3号被保険者)があります。

それぞれベツモノなので区分して説明します。

 

1. 税扶養について

夫が社長、奥様が監査役というケースはとてもありがち。

あるいは夫が社長、奥様が事務員というケースも。

この場合、いずれでも、奥さんの給与所得が38万円以下ならば夫の扶養家族になれます。

給与収入から給与所得控除(65万円)を差し引いたものが給与所得。

いわゆる103万円のラインは、その額だとちょうど課税所得がゼロになる、上記金額の合計額です。

(103万円-65万円(給与所得控除)=38万円が給与所得額。ここからさらに基礎控除38万円を差し引いたものが課税所得になりますが、この場合はちょうどゼロになって税金がかかりません)

なお、夫が個人事業主で奥様が専従者給与をもらっている場合(青色および白色)は、扶養家族控除は受けられません。ダブルカウントになってしまいますので。。。

 

2. 健康保険扶養について

健康保険のいわゆる3号被保険者になれるかどうかは、上記の税扶養とはまた別の検討が必要です。

原則的な考え方は、「適用除外に該当しないかぎりは強制加入」です。

目安としては、夫の収入の1/2以下でかつ年間の収入見込が130万円未満の場合、3号被保険者になれるそうです。

常勤役員や代表権のある役員をやっている場合は、強制加入となると考えられますので、前掲の「奥さんが監査役」の場合は注意が必要です。保険者に問い合わせましょう。

 

以上、概略でした。

住民税の非課税や配偶者特別控除については、今回は省略で。

事業開始時の人事労務関係の手続 (一覧)

このところスタートアップの方をサポートすることが多くありましたので、備忘録的にエントリー。

個人事業なり法人設立なり、事業をスタートさせて人を雇ったら、こんな一連の手続きが必要になります。

 

<税務署宛>

  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出

http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm

→給与を支払ったら翌月10日までに源泉所得税を税務署に納付する必要がありますが、一定の条件下(従業員が常時10名未満)ではこの納付を半年に一回まとめて行うことができるようになります。7月と1月になるのですが、そのための書類がこれ。

  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請

http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_14.htm

ついでに納期限の特例についてもしておけば、1月の納期限を10日から20日まで遅らせることができます。

 

<労基署宛>

労働者を雇用するということは労働保険関係が成立することを意味するため、その届を労働基準監督署へ行う必要があります。これは事業開始or雇用開始から10日以内です。

  • 保険関係成立届

http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/daijin/hoken/980916_2.htm (概要)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/senpaku/03.html (記入例)

また、50日以内には労働保険の概算納付をする必要があります。

  • 概算保険料申告書

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/senpaku/04.html

 

<社会保険>

いきなり社保完備の会社を設立する方がどのくらいいらっしゃるか分かりませんが、その場合には社会保険事務所でも手続きが必要になります。
http://www.sia.go.jp/sinsei/iryo/index.htm

 

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どれか提出を忘れそうなくらい、ペーパーワークが多くなることがお分かりになるかと思います。

こんな面からも、人を雇うのってほんとうに大変です。

ワンマン経営者が個人事業の延長で事業をされている分には問題ないと思いますが、それなりの人員を雇った後に一人ですべてに事務対応するのはちょっと無理がありますので、適切な方へアウトソーシングするなり事務員を雇うなりの対応が必要になると思います。

ましてや常時10名以上を雇用すると源泉税も毎月納付になりますので、バックオフィス業務は煩雑化しがちになります。

事務員の雇用は人件費負担となりかねないですが、むしろ事務員という人的戦力を戦略的につかうという発想をもって、うまく進めて頂きたいものです。